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青木勇気

Author:青木勇気
小説を出していたり絵本も書きたかったりします。物書きと呼ぶにはおこがましいくらいのものですが、物語を書いて生きていけたら幸せだなと思っています。

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Yahoo!ニュース個人掲載記事:「FREITAG」について

2015.03.01 23:07|雑記
“ファンダメンタル”の誘惑。FREITAGが提案する革新的な購買体験とは?

「チューリッヒなう」
ある人がこうツイートすると、特定のフォロワーたちの反応でタイムラインがざわめき立つ。チューリッヒとは、言うまでもなくスイス最大の都市のことだ。誰もが憧れる観光立国に行くこと自体は、特段変わったことではない。ただ、それが「カバンを買いにいくため」だったらどうだろうか。

彼は世界を股にかけるビジネスマンでもなければ、北欧エリアを担当するバイヤーでもない。あるバッグブランドの純粋なファンなだけだ。ブランドの名は「FREITAG」。その本店がチューリヒ、つまりは“聖地”にある。それこそが、理由なのである。

なぜ彼は、そうまでして求めるのか。世界中に熱狂的なファンを抱えるFREITAGとは、どんなブランドなのか。FREITAGを通して得られる購買体験は何が特別なのか。その理由に迫ろう。

■「FREITAG」はどのようにして生まれたのか?

「FREITAG」の創業は1993年。生みの親であるMarkus Freitag(マーカス・フライターグ)とDaniel Freitag(ダニエル・フライターグ)兄弟が、その名の由来だ。

FREITAGのバッグは、この世にふたつと同じ商品がない特徴を持つ。使い古されたトラックの幌、廃車のシートベルト、自転車の使用済みインナーチューブを再利用したメッセンジャーバッグに始まり、多彩な形状のバック、財布、ブリーフケースなど「FUNDAMENTALS(ファンダメンタル)」と呼ばれるベーシックなプロダクトラインを中心に展開している。

トラックの幌を使うアイデアは、兄弟が住んでいたアポートの窓から見える景色、カラフルな自動車が行き交う騒然とした交差点がきっかけになったという。トラックの騒音に迷惑していた二人が、そのトラックの幌から、新たな価値を持つ製品を生み出したというわけだ。使い古され役目を終えたものたちが、一つひとつ個性を持ったバッグとして生まれ変わり、世界中の人々の手に渡り、また新しい役目を果たすサイクルを構築したのである。

FREITAGの商品は、事実としてすべてが一点物であるだけでなく、パッケージを含めた洗練されたデザイン、さまざまな利用シーンを想定した機能性はもちろんのこと、コンセプトやストーリーが秀逸で、独創的なアイデアに溢れている。だから、人々は魅了されるのだ…と言ってしまえば簡単であるし、FREITAGの魅力を端的に説明する表現としてあながち間違ってはいない。

だが、FREITAGの魅力は商品単体で語り尽くせるものでは決してない、というのが当記事のテーマであり、ここから先はその「購買体験」がいかに革新的で特殊なものであるかについて説明したい。

■ 消費者はFREITAGから「体験」も買っている

まず、FREITAGを買うことは、一点物のバッグを買うことイコールではない。世界に一つしかないからレアで、レアだから買うというだけではない。FREITAGの商品を買うことによって得られる「体験ごと」買っているのだ。

FREITAGを店舗で手に取るとき、他のブランドのバッグを買う際のそれとは一線を画した体験ができる。たとえば、あなたが東京にある旗艦店を訪れたら、壁一面に設置された「V30 FREITAG Skid」と呼ばれるL字ユニット型の収納棚と、その中に収納された1000にも及ぶ珠玉のバッグの存在感に圧倒されるだろう。

購入に至るまでのプロセス、偶然の出会いへの期待感など、そこにはバッグを買いにいくというレベルから逸脱したモチベーションがあるのだ。これが、FREITAGはただバッグを買うだけではないと言った理由である。そういう意味では、FREITAGを買って使うという行為は、バッグを持つというより、お気に入りのアイテムを身につける、自分のアイデンティティを反映させたものを持ち歩くといった方が正確かもしれない。

また、FREITAGの公式サイトにはオンラインショップ機能があり、ここにおいても一味違う買い方ができる。具体的には、80種類を超えるアイテムそれぞれに多数の在庫があり、一つひとつ撮影された画像を回転させて全体像を確認したり、フラップをめくった際の柄を確認することまでできる。

海外から購入することになるため多少コストはかかるが、身近なところに取り扱い店のないファンにとっては、現物を手に取る感覚に近い形で購入することができるため、非常に価値あるサイトとなっている。

■ ブランディングとマーケティング戦略こそが、FREITAGの強み

オンラインショップといえば、近年EC事業者の成長戦略として、O2O、オムニチャネル、コンテンツマーケティングなどというキーワードが散見されるようになった。その背景には、ECで完結してしまうため店舗に来てもらいにくくなった、技術革新やライフスタイルの多様化に合わせた購買チャネルの拡大が必要になった、ショップが増えすぎてほとんどの店舗が同じやり方では売上が伸びなくなったなど、さまざまな理由がある。

しかし、FREITAGはこのようなバズワードが出てくる前から、しっかりとしたブランディングとマーケティング戦略でファンを囲い込んでいる。この点にも注目したい。

まず、消費者の動きとして、楽天で欲しい商品の在庫を確認したり、価格.comで最安値を割り出したり口コミを見たうえでお店で現物を確認し、ネットで買うケースが増えているが、こうなると、在庫や人件費をかかえるリアル店舗が苦しい状況になってしまう。ただ、FREITAGはすべてが一点物という商品の特性上、消費されるだけで売上があがらないという憂き目に遭うことはないし、価格競争に巻き込まれることもない。

また、先述の通りFREITAGは、そもそもがリアルでもオンラインでも特殊な購買体験ができる商材のため、O2O(Online to Offline)を地で行っているところがある。たとえば、新作が出た際には、店舗に行けばもちろんその魅力を十二分に体感できるが、オンラインでもショップとしてだけではなく、商品のコンセプトや紹介動画などが充実していて「メディア」としても機能しているため、実際に手にとってみたいと思わせることができる。

コンテンツマーケティングという観点でも、さまざまなコンテンツによってブランドの魅力を伝え、また頻繁に商品在庫を更新することで、ユーザーを月に何度も訪問させることができる。多くのEC事業者を悩ませる競合優位性、オリジナリティといったポイントを見事に押さえている。実のところ、老舗のハイブランドでさえもここまではできていない。

一見すると、希少性とデザイン性によって商品力を保っているように思えるが、むしろブランディングとマーケティング戦略にこそFREITAGの強みがあるのだ。

■ ファンを魅了するキャンペーンやイベントも

FREITAGのマーケティングがいかに秀逸であるかイメージしやすいように、具体例をいくつか紹介しよう。まず、FREITAG-Store Tokyo・Shibuyaで実施中の来店促進キャンペーン「THE TEAM OFFER FOR INDIVIDUALISTS」。スポーツチームのメンバーで来店し写真撮影すると、6個を5個分の値段で購入できるというものだ。

対象商品は、スポーツバックタイプのF45 LOIS、F46 CLARKで価格はそれぞれ30,348円(税込)と34,020円(税込)だが、ただお得なことを訴求するだけでなく、ユーモアに富んだムービーなどを通して、商品の魅力、使い方、利用シーンを伝え、啓蒙している。

また、オープニングパーティーや季節のイベントなど、ユーザーと交流を欠かさないのも特筆すべき点だろう。関係者やファンはもちろんのこと、たまたま通りかかった人にも、おいしい食べ物や飲み物を振る舞い、ノベルティをプレゼントしてくれる。そしてそれは、ただ気前がいいということではなく、何らかの形でFREITAGらしさを表現し、それを体感してもらうことが前提にある。ヒト・モノ・コトが一体となった空間を提供することが、FREITAG流なのである。

その他、コラボレーション企画によりイベントが行われるケースもある。たとえば、JR東日本ステーションリテイリングが運営する雑貨店「rezept design&store」とタイアップし、廃棄前のJR車両の連結部分の幌とFREITAGの幌を使ったトートバッグ「F52 MIAMI VICE」をユーザー自ら制作できるイベントを行い、余った幌でオリジナルポーチを作りrezept design&store限定で販売されるといった好例があり、FREITAGのコアコンセプトを損なうことなく、新しい価値やプロダクトが生み出されることも非常に魅力的と言える。

■ 直営店でFREITAGの魅力を伝える意義

このように、FREITAGは独自のやり方でブランディングを行い、ユーザーを楽しませ、ファンを大切にしているわけだが、実際に店舗を運営するスタッフはどのようなことを心がけているのだろうか。2011年10月のオープン以来FREITAG-Store Tokyoのマネージャーを務める内藤さんにお話を伺った。 

FREITAG-Store Tokyoでは、内藤さんが笑顔でお客さんを迎え入れ、おもむろにこだわりのエスプレッソを淹れてくれる。あたかもバーカウンターのようにリラックスしたムードの中、小物類が並べられたショーケースを挟んでインタビューは始まった。まずは、直営店スタッフとしての役割について。

「FREITAGとは何なのかをお客様に伝えることが僕らの仕事です。FREITAGの魅力って何なのかといえば、リサイクル、エコありきで20数年やってきましたが、それを前面に押し出すことなく表現すること、たとえば“individual freeway bag”、“more than a bag”といったコンセプトもそうですが、つまりは“FREITAGにしかない”もの。それをいかにして伝えるかはスタッフにかかっています。FREITAGの変わらない価値観はありますが、マニュアルがあるわけでもないので、それぞれが体現者として語る必要があると思います。」

内藤さんはゆったりと語りながらも、取材の合間にパーツのリペアを希望するお客さんが来店すると、すぐにスイッチを切り替え丁寧にサービス内容を説明していた。このように、既存ユーザーは商品を探しに来るだけでなく、修理に出すために来店することもある。一方、銀座というエリアの特性上富裕層が多いため、FREITAGを全然知らない人がふらっと来て、色や形がかわいいからと値段なども気にせず買っていくことも増えているという。そのような場合は、後付けでFREITAGとは何かを説明することになるが、まさにスタッフが伝道師として活躍する瞬間だと言える。 

次に、アジア初の旗艦店が東京であるように、どうしても取り扱い店が特定のエリアに集中しがちだが、販売代理店などの展開はどのように考えているのか聞いてみた。

「各都道府県に1店舗ずつは展開したいですね。ただ、FREITAGは15年以上前から“ブームに左右されない店”をキーワードにして店探しをしてきました。ブームに乗っかって売上を立てたいと希望するお店もありましたが、それよりもまずコンセプトや価値観を共有できることを重んじているので、これからもそれは変わらずにいきたいです。」

現在も全国にFREITAGの販売代理店があるが、希望すればどこでも取り扱えるわけではなく、FREITAGの魅力を理解・共感し、それを思い思いのやり方で伝えられるお店でなくてはならない。事業である限り利益性は外せないが、常に魅力的な新しいプロダクトを生み出しつつも「変わらないもの」を大切にするからこそ、ブレることなくファン心をつかむことができるのだろう。

ちなみに、内藤さんのFREITAGとの出会いは1999年で、初めて持ったのは今や廃盤となってしまったバックパック「F33 BONANZA」だという。一番好きなバッグは、すべてのはじまりでもある「F13 TOP CAT」とのことで、取材後少し店内で物色していたら、来店したお客さんに声をかけ、楽しげにTOP CATの使い方を説明する姿を見ることができた。

商品を探す高揚感とともに演出される、落ち着いた雰囲気のサロン空間のような店舗。スタッフはもとより、生みの親であるフライターグ兄弟も、創業から20年以上経ちここまで大きく成長したにもかかわらず、決して傲慢になることなく、自然体でファンとの交流を楽しみ、自らブランドの魅力を体現している。彼らもまた、FREITAGが愛される大きな理由のひとつなのである。

■ それでも僕らは、ファンダメンタルに誘惑される

さて、これでもかというくらいFREITAGの魅力について書いてきた。すでにお気づきだと思うが、筆者自身FREITAGをこよなく愛するファンの一人である。だから、多少バイアスがかかってしまっているかもしれない。だが、決して誇張しているつもりはないし、冒頭で紹介したコアなファンのように、FREITAGを愛するがゆえにチューリッヒまで行く、というのもまったくもって不思議な話ではない。

これは国内に限ったことではなく、実際アジア諸国のファンも観光を兼ねて日本の旗艦店に訪れている。海を渡る勢いではないまでも、全国に点在する個性的な取り扱い店を回り、店主のこだわりを聞くことや、土地土地のファンと交流する楽しみもある。FREITAGが紡いできたストーリーが、バッグを通して人と人を結びつける、こんなブランドはなかなかない。

「たかがカバンに。しかも高いし」と思う方もいるかもしれない。もちろん、それはある価値観の中ではまったくもって正しい。先述した通り、必要に迫られて買うものではないから。それでも僕らは、FREITAGが提案する“ファンダメンタル”に誘惑される。そこにしかないものを買いにいくために。

「Yahoo!ニュース 個人」に寄稿した記事を転載しています

FUTURUS掲載記事:「パーフェクトベビー」について

2015.02.11 12:24|雑記
子供の「眼の色や学力」を選べるだと?パーフェクトベビー論を問う

神の御業を見よ。神が曲げたものを誰が直しえようか。 - 旧約聖書『伝道の書』-



これは、1997年に上映されたアメリカのSF映画『ガタカ』(原題:『Gattaca』)の冒頭で引用された言葉だ。

『ガタカ』は、DNAの基本塩基のイニシャルで構成されたタイトルからもうかがえるように、遺伝子操作により生まれながらに優れた能力を持った“適正者”と、自然出産により欠陥のある遺伝子を持った“不適正者”との間に厳格な社会的差別がある近未来を描いた名作である。

最近では、日本でもDeNAグループの『MYCODE』や『GeneLife』など、遺伝子検査サービスは身近な存在となりつつあるが、一方で遺伝子検査の利用が進み、医療技術が進んだ先にあるもの、つまりは“パーフェクトベビー”につながることを懸念する声が挙がっている。

映画の世界が今まさに、生殖医療のビジネスによって現実のものになろうとしているというのだ。


■ 議論を呼んでいる“パーフェクトベビー”とは?

“パーフェクトベビー”は、医学の力でつくりあげられた理想的な赤ちゃんを意味して使われる言葉である。しかし、そんなことが本当にできるのだろうか。先進的な生殖医療関連サービスを紹介しよう。

国内では、Cell and Genetic Laboratory社が世界で初めて着床前診断を実施したReprogenetics研究所と提携し、冷凍保存した受精卵をアメリカに送ることで、日本にいながら着床前診断を受けられるサービスを提供している。このことにより、遺伝子疾患や流産のリスクを回避することができ、さらには男女の産み分けすら可能だという。

他にも、生殖医療における遺伝子検査が進んでいるアメリカでは、精子バンクのFairfax Cryobank社がドナーの遺伝子を事前に検査したうえで提供しているが、これも“パーフェクト”に近づける発想に思える。

事実、この会社のサイトにはドナーを探すページがあり、目の色、髪の色、血液型などを選び、該当するドナーが何人いるか検索できるようになっている。また、学力、運動神経だけでなく、趣味などの嗜好性まで選択することができるため、“限りなく理想に近い精子”を選ぶことができるのだ。

このように医療技術が進歩し、サービスが過剰になっていることを鑑みると、命の選別につながる“パーフェクトベビー”という概念が生まれるのも無理はない。手軽に精子と卵子を購入することができ、代理母が一般化すれば、両親と縁もゆかりもない子どもが生まれてくることさえあるというわけだ。


■ 生殖医療技術と生命倫理の狭間で

人工授精、精子・卵子バンク、代理出産などにより、さまざまな事情で子どもを持てない人に可能性が広がったことは素晴らしいことである。だが、そこには生命倫理という言葉がちらつき、科学の濫用ではないかという批判も消えない。

2013年4月より、妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断が導入されたが、羊水検査を通して染色体異常が確定したケースの97%が中絶を選択したというデータがある。

この場合の被験者は95%が高齢妊娠だったこともあり、あくまで参考数値ではあるが、ダウン症、心疾患、発達の遅れが生じる可能性が高いと診断された場合、そのことを知った上で出産する覚悟を持てる人は少ない。仮に覚悟を決めたとしても、流産するリスクもある。

もちろん、新型出生前診断は諸条件を満たす妊婦のみが自らの意思によって行うものであり、異常があったら中絶するという気楽な検査ではない。それに、当たり前のことだが、精度が高いとはいえ100&ではない。

あくまで、もし自分の子どもが障害を持って生まれてきたらどのように迎え入れ、育児をすればいいかを考え、準備をするための検査である。決して、命の選別につながってはいけないのだ。

以前、ご子息がダウン症である日本ダウン症協会の方とお話しする機会があったが、新型出生前診断については筆者と同様の見解で、「ダウン症かもしれないから中絶する」という流れができてしまうのだとしたら、それは非常に悲しいことだと話していた。

ダウン症というと心疾患などの合併症により長く生きられないイメージがあるが、実のところ健康な人の方が多く、能力も人それぞれ違う。親にとっては自分の子供であり、“ダウン症の”とひとくくりにして語れるものではない。

本来、こんな話をわざわざ書くのは野暮なことだと思う。ただ、生殖医療技術と生命倫理の狭間にある領域が、どういう広がり方をするかによって話は大きく変わる。『ガタカ』のような未来になるのか、それとも、どんな命、生き方であろうと受け入れられる器をつくるのか。

いずれにしても、今後はより真摯に“パーフェクトベビー”問題に向き合う必要があるだろう。


「FUTURUS(フトゥールス)」に寄稿した記事を転載しています

子どもは、現実と向き合い、新しい物語と出会うための“ノイズ”である

2015.01.22 11:30|雑記
衆議院選挙の争点ともなった、少子高齢化。様々な観点から活発な議論が交わされているが、その要因は多面的で根深く、複雑に絡み合っている。果たして有効な解決策はあるのか、何から取り組むべきなのか、非常に悩ましい。

まず、当たり前のことだが、高齢化そのものは止められない。理由は単純で、現代における医療、社会保障、インフラ、治安等であれば、平均寿命が下がることはないからだ。現にこの50年平均寿命は上がり続け、2014年には男性も初めて80歳を超えた。

また、昨年国内で生まれた子どもは、前年より2万9千人少ない100万1千人と過去最少になる見込みで、8年連続で人口減の状況が続いている。出生率が上がらず生産力が高まらないことには、いずれ社会保障制度が崩壊するのは目に見えている。どんな形で高齢化対策を推進しようとも、少子化問題の解決ありきであることは明確だ。

では、どうすれば良いのか。たとえば、次世代の働き方やライフスタイルを提案する株式会社ワーク・ライフバランスの代表・小室淑恵さんは、「長時間労働をやめれば、日本は変わる」と言っているが、「人口オーナス(財政、経済成長の重荷となった状態)期」に入っている日本において、育児、介護などが障壁にならない、つまりは時間の制約があっても働ける環境が求められるという意見には、一定の説得力がある。

今までは、持てる時間をすべて仕事に投入できる人だけが昇進する社会でしたが、これでは労働者は疲弊合戦になって生産性が下がり、かつ時間に制約のある人のモチベーションは低下します。すべての人が生産性高く、時間内に仕事を終えるモデルに転換していくことが大切です。


出典:「長時間労働をやめれば、日本は変わる」小室淑恵さんに聞く衆院選の争点【少子化・ワークライフバランス】

要するに、小室さんは労働集約型の産業から脱却し、男女の雇用機会を均等にしつつ生産性を上げることが結果的に企業のコストを抑え、ワークライフバランスを整えることに繋がり、家族やパートナーと過ごす時間を創出すると言っているのだ。

一方、フリーアナウンサー・長谷川豊さんは、自身のブログ「保育環境を整えれば子供を産む、という大ウソ」で、女性の社会進出と少子化対策はリンクしない、専業主婦や専業主夫を増やすに尽きるとし、日本の少子化の根本的な問題点は、若い男女が子育てよりも自分のことの方が好きなところにあると提言している。

ニューヨーク近郊のエリアにおける子育て環境と育児・保育状況を紹介しながら、日本の環境、制度は決して恵まれていないわけではなく、あくまで

子供よりも自分の方が可愛いから、子供なんて産んだら自分中心の物語が崩れるから。


出典:保育環境を整えれば子供を産む、という大ウソ

だと言う。一見すると乱暴な物言いに感じられるが、「自分中心の物語」という言葉は示唆に富んでおり、問題の本質を紐解く鍵が隠されているように思える。本稿では、この言葉をヒントにして、「自分の物語」と「子ども」という存在の関係性に焦点を絞り、少子化問題にアプローチしたいと思う。


■ 「自分らしさ」という幻想がもたらすもの


それでは、まずは「自分中心の」という言葉を噛み砕き、「自分らしさ」と言い換えて考えてみよう。私はこうなりたい・なりたくないから、これが好き・嫌いだから、こういう性格・価値観だから…etc。このように、人は自分で自分を形どりがちだが、この「自分らしさ」こそが苦しい状況を生み出しているのではないだろうか。たとえば、昨年開催されたブラジルW杯での日本代表を例にするとわかりやすい。

我らがサムライブルーの1分け2敗という結果に失望した方は多かったと思う。ベストだと思われる23人を選定し、あらゆる状況を想定して臨んだはずだったが、現実は厳しく、選手や監督が口々に言っていた「自分たちのサッカー」は鳴りを潜めた。元日本代表キャプテンの宮本恒靖氏も言及していたが、ブラジルW杯は「ハイレベルなボールの奪い合い」が特徴的だったという。確かに、素人目でも相手の良いところを潰しにかかる堅守速攻のスタイルが目立つ大会だった。

つまり日本代表は、このメンバー、この戦術で行くという意思や決め事が裏目に出てしまったわけである。もちろん、個人技が全く通用しなかったわけではない。ゴールも奪っている。ただ、それらは、想像を超えるレベルの相手、思い通りにいかない状況に対峙してもなお、自分たちのサッカー、得意な形にこだわった延長線上にあるように感じられた。内田篤人選手が攻撃も守備もなくがむしゃらにボールを追いかけていたのは、早い時間で違和感に気づき、誰よりも焦り、必死に対応しようとしたからではないだろうか。

W杯は、自分たちのサッカーはある、だがそんな余裕はない、それならば…と試合の中で柔軟に対応し、質の高いプレーができるチームと戦い、その上で「自分(たち)らしさ」を発揮できるかどうかを試されるシビアな大会なのだ。あらかじめ用意された「自分たちのサッカー」が通用しないのも当然で、相手に自分たちのサッカーをさせず頂点に立ったチームこそがその結果をもって、自分たちのサッカーで勝ったと言えるに過ぎない。

このサッカーの例で言いたいのは、「自分(たち)の◯◯」がいかに脆いものであるかということだ。自ら規定した「自分らしさ」が、思うようにいかない現実の中で機能しなくなる必然を見せられたわけだが、もちろんこれは他人事ではない。一流のアスリート集団でさえ陥る事態が、より薄ぼんやりとした「自分らしさ」を見逃してくれるはずがない。

「自分らしさ」という幻想を拠り所にして、「自分の物語」をこしらえているのだとしたら、何が起こるだろうか。主体的に見える言葉が自らを客体化し、逆説的に自分を見失わせることになるのではないか。決して他人事にはできない、自分を。


■ 「自分の物語」を生きるとは、どういうことか

自分を知らず知らずのうちに客体化し、他者や情報に囚われているとどうなってしまうのか。このことを比喩的に表現している小説がある。村上春樹の『1Q84』だ。この物語は、1984年からパラレルワールドのような「1Q84」年に迷い込む登場人物の運命を描いているが、実のところ「自分の物語」を生きるとはどういうことかを示しているように思える。

「青豆」と「天吾」という二人の主人公の生き様はそれぞれ、現実世界において流されて生きる「受動的な受け入れ」から、「1Q84」に迷い込みながらも互いを求めることで運命を切り開いていく「能動的な受け入れ」へと移行していく。そして、この非現実的な世界「1Q84」に翻弄される中で本物の現実、向き合うべき対象に出会うという構造は、「自分の物語=1984年」と信じていたものこそが危ういもので、自分を見失った世界であることを示唆する。

もうひとり、「牛河」の存在も見逃せない。BOOK3では、青豆と天吾の間に割り込むかのように牛河の章が加えられるが、彼は一般的にいって容貌、人格ともに愛されるキャラクターではなく、準主役という柄ではない。彼は、二人を追いつめた結果「1Q84」に入り込み、これ以外にできることはないと確信して突き進んだが、極めて救いのない形で排除されてしまう。

「1Q84」に迷い込んだという意味では同じなのに、なぜこうも結末が違ってしまったのか。青豆と天吾の邂逅を阻もうとしたことで、牛河は神の裁きを受けたのだろうか。いや、そうではない。『1Q84』は徹底して青豆と天吾の物語のように見えるが、同時に「私」の物語でもある。人は決して他者の人生を歩めないし、別の人間にもなれない。自らの人生を顧みず他者の人生に介入することで、知らず知らずのうちに理不尽な世界に飲み込まれてしまう。そのことを牛河が身をもって教えてくれているのだ。

青豆と天吾は、最終的にあらゆる受け入れがたいものを受け入れ、自分自身の物語「1Q84」を生きた。言い換えれば、青豆と天吾は人生の目的を見出したことにより、本当の意味で物語の主人公になったのである。だからこそ、青豆は特別な力を持った教団のリーダーの預言を覆すことができ、天吾は新たにオリジナルの小説を書き始めることができたのだ。

ただ、二人の行く末を見守るだけではこの物語は完結しない。『1Q84』では物語の主人公に憑依することなく、また完全に客体化することなく、「私」の物語として読むことが求められるのである。天吾が『空気さなぎ』ではなく、自らの物語を完成させなければならないように、私たちもまた決して他人事になりえないそれぞれの人生を歩まなければならない。まさに、「自分の物語」を生きるとはどういうことかを示していると言えるだろう。

そして、重要な登場人物が現れる。「小さきもの」、つまり「子ども」だ。『1Q84』において、何に代えても守らなければならないものは、青豆にとっての天吾、天吾にとっての青豆、そして二人にとっての「小さきもの」であるが、この子どもは極めて抽象的な存在として描かれている。荒唐無稽とも言える設定の中で宿るその命は、ある種の“ノイズ”となり二人の物語を繋げるのだが、このような全くもって不安定なものがなぜ強力な絆を生み出すのだろうか。

一人の物語が二人の物語となり、ここに子どもという“ノイズ”が介入することで、物語は新たな展開を見せる。こう書いてしまうと、フィクションならではの不可思議な現象に思えるのだが、決してそうではない。むしろ、子どもの存在とは本質的にそういうものだからだ。

もう一度、先に取り上げた長谷川さんの言葉を思い出してみよう。

子供なんて産んだら自分中心の物語が崩れるから。

そう、子どもの存在によって「自分の物語」は終わり、この“ノイズ”こそが、新しい物語の扉を開くのである。


■ 物語と現実の間に横たわる“ノイズ”

これはどういう意味か、もう少し具体的に説明する必要があるだろう。奇しくも、思想家の東浩紀が『弱いつながり 検索ワードを探す旅』の中で、この“ノイズ”について解説してくれているので紹介したい。まず、本書のテーマを端的に表している一節を引用しよう。

環境を変え、考えること、思いつくこと、欲望することそのものが変わる可能性に賭けること。自分が置かれた環境を、自分で壊し、変えていくこと。自分と環境の一致を自ら壊していくこと。グーグルが与えた検索ワードを意図的に裏切ること。環境が求める自分のすがたに、定期的にノイズを忍び込ませること。


出典:『弱いつながり 検索ワードを探す旅』

ぼくたちはどこで弱い絆を、偶然の出会いを見つけるべきなのか。それこそがリアルです。身体の移動であり、旅なのです。ネットには、ノイズがない。だからリアルでノイズを入れる。弱いリアルがあって、はじめてネットの強さを活かせるのです。


出典:『弱いつながり 検索ワードを探す旅』

副題になっている「検索ワードを探す旅」は比喩ではなく、予定調和となっているネットの世界を広げるための身体性を伴う移動、旅行を意味する。一見すると、「書を捨てよ、町へ出よう」と提言しているように思えるがそうではない。むしろ、無限に広がる海を前にして水辺で遊ぶだけでなく、航海に出よと言っているのだ。そこで起こること、感じることが“ノイズ”であり、そのリアルにおける偶然性の産物こそが、ネットの価値を引き出すものであると。

また一方で、東はネットの中で完結する情報収集や世界観に対し警鐘を鳴らしつつ、物語と現実の関係について触れている。

ぼくたちは、検索を駆使することで無限の情報から無限の物語を引き出すことができる時代に生きています。だからこそ、ひとりひとりが、物語と現実の関係について自覚的でなければならない。情報だけの世界に生きていると、乱立する物語のなかで現実を失ってしまいます。


出典:『弱いつながり 検索ワードを探す旅』

ネットによってあらゆる情報が手に入り、他者の思想や生活までもが可視化されるようになったが、それは自分が向き合うべき現実を見失う要因にもなっている。ネットを使えば何でもわかってしまう、体験できるという錯覚が起き、情報によって他者を相対化することが日課となる。そしていつしか、自分自身と向き合わなくなってしまい、曖昧な「自分の物語」が出来上がってしまう。

これはまさに、『1Q84』における牛河の運命そのものではないだろうか。村上春樹は『1Q84』執筆中にインタビューの中で次のように話している。

「僕が今、一番恐ろしいと思うのは特定の主義主張による『精神的な囲い込み』のようなものです。多くの人は枠組みが必要で、それがなくなってしまうと耐えられない。オウム真理教は極端な例だけど、いろんな檻というか囲い込みがあって、そこに入ってしまうと下手すると抜けられなくなる」

「物語というのは、そういう『精神的な囲い込み』に対抗するものでなくてはいけない。目に見えることじゃないから難しいけど、いい物語は人の心を深く広くする。深く広い心というのは狭いところには入りたがらないものなんです」


出典:毎日新聞インタビュー(2008年5月12日)

『1Q84』は、物語の中で現実を見失わず、他者と向き合い、その世界を広げていくことの重要性を、そして、子どもという“ノイズ”がそのきっかけとなることを教えてくれる。「自分の物語」だと思っていた不安定な世界に突如現れる、全き現実。男女がそれぞれ見失いかけていた物語を取り戻すために、二人を強力に結びつける存在。

子どもは、向き合わなければならない現実、アンコントローラブルな現象、守るべきものの象徴として、「自分(たち)らしさ」という幻想と閉ざされた世界を取り去る。子どもという絶対的他者により、否応無しにコントロールされた枠組から引きずり出されるのだ。

つまり“ノイズ”=子どもとは、自分らしさで彩られた世界への「侵略者」であり、同時にいつの間にかこしらえられた物語から現実を取り戻す「救世主」でもある。子どもができることで「自分(たち)中心の物語」が崩れるというとき、それは同時に新しい物語の始まりによって世界が広がることを意味するのだ。“ノイズ”は、「自分の物語」と現実との間にあるギャップを埋めるものと言い換えることもできるだろう。

言うまでもなく、ここでの主張は子どもがいない人間は現実と向き合えない、自分らしさという幻想に囚われたままである、といったことではない。伝えたいのは、子どもができることで「自分の物語」が崩れるようなことは決してない、ということだ。たとえそれが全くコントロールできない(いつどこでどんな子どもが生まれてくるか決めることができない)偶然性の産物であろうと、自身が描いていた人生設計の中で想定外の状況であろうと、現実は損なわれない。

統計や予定調和が通用しない偶然性の産物であるにもかかわらず、子どもは他のどんなものよりも強く物語と現実の距離を縮める。そして、それぞれの物語を生きていた個人は、子どもと対峙することによって新しい物語を生きるようになる。むしろ、これこそが現実であると思い至るようになる、そんな存在が子どもなのだ。


■ 確率論が通用しない偶然性の産物として

最後に、確率論が通用しない存在としての子どもと向き合うことの意味について論じよう。東浩紀は、『弱いつながり』の中で自身の子どもを独特な言い回しで表現し、その存在の本質を突いている。

偶然やってきたたったひとりの「この娘」を愛すること。その「弱さ」こそが強い絆よりも強いものなのだ


出典:『弱いつながり 検索ワードを探す旅』

自分が存在するということはつまり、先祖代々、子どもを産み、育ててきた結果である。ただ一方で、現生人類が誕生してから数十万年も連綿と受け継がれてきたことであるにもかかわらず、「この自分」であることは偶然以外の何物でもない。そして子どももまた偶然やってきた存在だ。でも、それでも、「この子」以外の選択肢など考えられない。これは非常に不思議な現象と言える。この状況こそが現実と向き合い、受け入れるということなのではないか。

だからこそ、子どもを通して得られるあらゆる経験は替えがきかないのだ。他者が追体験できる種類のものではない。特に母親は四六時中、未体験の出来事と遭遇し、奮闘するわけだが、これは言葉にし尽くせないものがある。子育ては大変だというとき、大変であることは間違いないが、「この子」と向き合う大変さは決して体験できない。

もちろん、それはポジティブな体験においても同様で、子どもがいかに愛おしく、他のどんなものからも得られない感情を与えてくれるかも体験できない。我が子の温かくて小さな手のひらや、つややかでやわらかい頬の感触が、どれだけ人の心を癒し、幸せな気持ちで満たすか。実際に筆者が感じたことをこのように共有することはできる。そうなんだろうなとは感じてもらうことはできる。それが全く無意味であるとも思わない。

ただ、それらはすべて「私」の体験、現実、物語でのことなのだ。

世の中にはさまざまな専門家や識者がいて、子育ての秘訣やより良い家族の築き方を学べる諸サービスが存在する。それらがまやかしだなどと糾弾するつもりはないが、本質的には子どもはあくまで統計や確率論の類では語れない。統計上、確率論的に、医学的な見地では、こうした方がいいと思いますよ、という話でしかない。それは子どもを産み、育ててきた諸先輩方の生の声も同様で、それがすべてというものではない。

だからもし、ありとあらゆる情報が溢れる現代において、子どもを産むことや育児にネガティブなイメージを持ち、感情的に受け入れられない状況に陥ってしまっているのだとしたら、それらはおしなべて曖昧なものであり、あなた自身のことではないと言いたい。

冒頭でも述べたが、確かに少子高齢化の問題は根深く、アベノミクス「3本の矢」の本丸となる「成長戦略」の決定的な施策は見えていない。だとしたら、どうやって未来に希望を抱けばいいのか。子どもなんて産んだら大変になるばかりじゃないか。そういう話になるのも無理はない。女性の活躍促進や高齢者雇用の活性化、子育て家庭を支援する諸制度や働き方の見直しなどは間違いなく必要であるし、ぜひ各方面で推進していただきたいと思っている。ただ、それだけでは足りないし、それ以前のところに本質的な問題がある。

現状を正しく把握することや、事前に知っておくことは大切である。そのためにネット上でさまざま情報にアプローチすることは賢い生き方かもしれない。これ自体は否定されるものではない。しかし、繰り返し言っているように、現実と物語、ネットとリアル、この関係性と自分の立ち位置、向き合い方を見失うきっかけになってはならない。確率論の世界や借り物の物語に囲い込まれてしまうと、その中からなかなか出てこれなくなるからだ。

少子化問題を解決する鍵は、“ノイズ”を「自分の物語」にとっての異物、邪魔者と捉えるのではなく、それがどんなものであろうとも目の前の現実と向き合い、新しい物語の世界を広げていくためのきっかけ、機会と捉えることにある。

「どうすれば子どもが増えるか」という議題は、施策ありきではなく、「どのようにして個人が現実と向き合い、新しい物語を紡いでいくとよいのか」と言い換えるところからはじめるべきなのではないだろうか。


「Yahoo!ニュース 個人」の記事を転載しています

2015年「クラウドファンディング界」注目の動き5選

2014.12.27 18:41|雑記
2014年度にはついに1兆円市場に到達したと見込まれる、クラウドファンディング市場。毎年200%を超える成長を遂げているが、欧米と比較すると日本の市場規模はまだまだ小さい。

そこで、2015年度に国内の市場が飛躍する条件は何かという論点で、主に5つの動きに注目したい。

1:グローバル展開とプラットフォーム化

まず期待されるのが、購入型クラウドファンディングの「グローバル展開」と「プラットフォーム化」である。

グローバル展開でいえば、「MotionGallery」が海外の大手クラウドファンディングサービス「Indiegogo」と提携し、日米同時のプロジェクト掲載が可能になった。

また、日本から「Kickstarter」にチャレンジするケースなど、海外の方にニーズやチャンスがあるプロジェクトに関して、初めからグローバルを視野に入れて展開する手法も増えてきている。

国内のクラウドファンディングユーザーを増やすことも急務ではあるが、間口や選択肢を増やし、プロジェクトオーナーの支援を強化することは非常に重要なポイントとなるだろう。

「プラットフォーム化」という点でいえば、国内の「GREEN FUNDING」 や「WESYM」、海外の「Tilt/Open 」が採用するクラウドファンディングシステムを、ASPサービスとして他社に提供し、パートナーサイトを増やしていくビジネス手法は大いなる可能性を秘めている。

ポイントは、クラウドファンディングサービス事業者として自社でコンテンツを積極的に増やしていくのではなく、自らはクラウドファンディングポータルのような形態を取り、それぞれの強みを持った提携先のサービス経由でプロジェクトと売り上げをつくれることで、合理的でサステナブルなスキームだと言える。

そしてもうひとつ、具体的なプラットフォーム導入事例として注目したいのが、「ECサイト×クラウドファンディング」という新しい形である。

国内では、ファッションブランド「junhashimoto」を展開するFASH internationalが、クラウドファンディングの仕組みを用いた通販・ECサイト「the SHOWCASE」を展開している。

一言でいえば、クラウドファンディングを利用して特定ブランドのオリジナル商品の購入を希望する顧客を募り、期限内に一定数に達したら製造、販売する完全受注生産型のECサイトだ。すでにある程度知られていて固定ファンのいるドメスティックブランドが、EC戦略の一環として同様のモデルを採用するケースは今後増えてくるだろう。

海外でも、米国のメンズファッションECサイト「Gustin」がKickstarterでキャンペーンを立ち上げ、目標額をはるかに上回る資金を確保し、企画していた高品質なジーンズを安価で販売することに成功した。

このマーケティング戦略は、最近注目を集めているスタートアップでファクトリーブランド専門の通販サイトを運営している「Factelier」も採用しており、同じくグロースハックに成功している。

プロジェクトが達成した段階でメーカーに発注するフローのため、必要な材料だけを注文すればよく、余分に資材を抱えなくて済む。しかも、この仕組みなら流通フローのなかで発生する各種マージンをカットできるため、結果的に高い顧客満足度を得ることができ、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーのファン化につながるのだ。

これらはほんの一例だが、クラウドファンディングのシステムをどのように使い、どのようにして最適な仕組みを構築するかということに、成長の鍵があることは間違いないだろう。購入型クラウドファンディングは群雄割拠の様相を呈しているが、理由はシンプルで、どれだけそれぞれの個性、特長を表現し、質の高いプロジェクトの立ち上げに追求したところで、サービスの仕組み、UI、UXに大きな差がないからだ。

それはプロジェクトオーナーから見ても同様で、プロジェクトを成功させることができても、基本的にそれは短期的な成果であり、資金調達自体を仕組み化することはできない。クラウドファンディング事業者がこの課題を今後どのように解決していくのか、注目してほしい。

2:資金調達方法の多様化

購入型クラウドファンディングの成長という観点で次に挙げられるのが、資金調達の多様化である。

まず、クラウドファンディングのプロジェクトは、「チャレンジ型」と呼ばれる目標金額に達しなければ支援を得ることができないAll or Nothing方式が主流だったが、最近では「ダイレクト型」と呼ばれる、金額の多寡に関わらず実行する方式も増えてきている。

つまり、やることは決まっているが、資金を調達することでやれることを増やしたい、規模を大きくしたい、プロモーションとしてクラウドファンディングを活用したいというケースなど、クラウドファンディングサービス上でできる選択肢が増えていることを意味し、必然的にプロジェクトも金銭の流通も増加する。

All or Nothing方式にリスクを感じるプロジェクトオーナーにとって身近なものになっただけでなく、すでに特定分野で認知されている、もしくはファンを抱えているプロフェッショナル(アスリート、アーティストなど)が活動を支援してもらう目的で使うという活用法が見い出されたことに価値がある。

たとえば、あるスポーツ選手が海外遠征にほぼ自費で行かなければならない状況にあるとして、それをクラウドファンディングでサポートできるのであれば、目標達成における課題を解決するソリューションになり得るわけだが、その場合ニーズに合うのはダイレクト型だ。

また、海外の事例で言うと、「Indiegogo Life」が多様化を示すものとして非常にわかりやすい。「Indiegogo Life」は、個人的な理由、たとえば緊急事態や医療費用、お祝いといった、ライフイベントのために資金を必要とする人向けのサービスとして「Indiegogo」からスピンアウトしたものだが、実際にあるカップルが体外受精に必要な費用を調達するプロジェクトを立ち上げ、成功している。

このように見ていくと、仕組みとしては出資の対価を受け取る購入型のクラウドファンディングであっても、寄付や支援の要素が強いものも成立することがわかり、あらゆるニーズに応えられるサービスがユーザーを増やしていくことは間違いなさそうだ。

3:セキュリティ、保証面での強化

一方、資金調達の方法が多様化することで懸念されるのが、ハードルが下がることにより必然的に発生するリスクである。

詐欺行為や実現不可能なプロジェクトにおける未回収リスクなどに対して、資金提供者の安心・安全を守れるかどうかは事業者側の課題になるだろう。

このような事態を想定してIndiegogoは、規制やフィルタリングという観点とは別に「保険オプション」を検討している。大規模な開発案件などでありがちな度重なる延期や中止という状況に直面した場合に、返金を保証するサービスとなれば、支援者は安心して投資できるようになるだろう。

そしてもうひとつ、セキュリティや保証面での強化がより必要になる大きな動きがある。これまで日本においては資金決済に関する法律等によって個人間の送金や投資が制限されていたため、購入型のクラウドファンディングが主流だったが、2015年にはこの構造自体が変わる可能性があるからだ。

2014年5月に成立した金融商品取引法の改正は、事実上の「株式(エクイティ)型」クラウドファンディングの解禁を意味し、未上場でも1億円を上限にネット上で公募増資ができるようになる。

資金調達の新たな選択肢として中小企業からは大いに期待を寄せられているが、参入要件が緩和され、投資者保護のための行為規制が導入される一方で、企業側の情報開示のルールが不明瞭であり、気軽に個人投資家になれても株式を売買できる場がないといった課題も山積している。

一口にセキュリティの強化と言っても、法規制なども複雑に絡み合っていて、一筋縄ではいかないのが実情なのである。

4:「投資型クラウドファンディング」の勃興

特に国内においては購入型クラウドファンディングが主流であるように感じられるが、売上シェアにおいてはどうだろうか。

実のところ、世界のクラウドファンディング市場で最も高いシェアを獲得しているのは「融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)」であり、約5,000億円と言われる2013年度のクラウドファンディング市場の41%(購入型:26%)を占める。

欧米と日本の市場規模が大きく異なる理由でもあるが、今後の市場の成長という観点で、融資型クラウドファンディングの浸透がポイントになることは間違いない。

国内の代表的なサービスとしては、業界の草分けであり最大手の「maneo」、日本で唯一証券会社が運営する「Crowd Bank」、「SBIソーシャルレンディング」、「AQUSH」などがあり、順調な成長曲線を描いている。

低い預金金利が慢性化している、銀行預金残高は上がるけれども貸し出し残高が下がっている、株式相場は個人資産まで手を伸ばせていない、といった課題を抱える日本は、新しい資産運用方法として融資型クラウドファンディングを後押しするにはもってこいの条件を備えていると言えるだろう。

また、最近ではスタートアップが購入型クラウドファンディングのプロジェクトを成功させ、その後ベンチャーキャピタルから投資を得る、というパターンも多くなってきたが、これを仕組み化し得るサービスが誕生しつつあることも見逃せない。

非上場企業の株式を売買できるサービス「Crowd Equity」を運営する日本クラウド証券は、グリーンシートにおける豊富な実績と知見を武器に、投資家観点で課題やリスクとされていたポイントをクリアし、株式型クラウドファンディング機能の提供と、発行会社の情報公開と株式流通の場の提供を目指している。

購入型や寄付型のサービスと違って法的な側面でのハードルは高いが、2015年以降広がりを見せる投資型クラウドファンディング市場において、新しいプラットフォームが生まれることに期待したいところだ。

5:ポイント決済による利便性の向上

最後に、クラウドファンディングが活性化する条件として「ポイント決済」を挙げたい。

ポイントサービス市場の先駆けである「Tポイント」はYahoo!と提携するなど、成長し続けている感はあるが、以前のような一強時代ではなくなっており、「Ponta」もリクルートポイントとの提携を開始し、最近では「Rポイントカード」、「au WALLET」など、圧倒的なユーザー数を誇る大手各社が、既存のポイントサービスと電子マネーを連動させた新しい形を作りつつある。

一見するとポイントサービスとクラウドファンディングは関係がないように思えるが、実はそうでもない。ポイントサービスは「貯めて、使う」もので、貯めるシーンと使うシーンが増えるほどに機能する。

一方、クラウドファンディングに関してはどうだろうか。プロジェクトが無数に増えれば利用者が増えるかといえばそうとも言えない。自分が気に入る、支援したくなるものに出会う確率は上がるが、利用するごとに支援金額が割り引かれたりポイントなどの特典がもらえるわけではないからだ。

そこで必要となるのが、出資するハードルを下げ、利便性を向上させる工夫である。

このことに注目し、早期から導入しているクラウドファンディングサービスが、プラットフォーム化の項目でも紹介した「WESYM」だ。WESYMは、クラウドファンディングのプロジェクトをお金だけでなく、ポイントでも支援できる独自の決済システムを構築している。

仮想通貨を購入する形でプロジェクトを支援し、決済の際にクレジットカードはもとよりTポイント、楽天スーパーポイント、永久不滅ポイントなど様々なポイントを使える。

「現金で支払う」というハードルを、「貯まったポイントを有効活用する」ところまで下げることで、気軽にサービスを利用してもらうことを浸透させようとしているのである。

ただ、ポイントカードがコモディティ化してもポイントが使われないように、クラウドファンディングサービスが通販サイトと同じような形で日常利用されない限り、大幅な成長は見込めないだろう。あくまでも、クラウドファンディング市場とポイントサービス市場が相乗効果で成長していく必要があるのだ。

ポイントサービスの成長はeコマースの成長に連動するものだが、利用シーンを増やさなければ本当の意味では活性化しない。だからこそ、クラウドファンディングに「決済システムとしての進化」と「サービスとしての深化」が求められる。この点は今後重要な指標となるだろう。

いかがだっただろうか。

筆者はここ3年ほど折に触れてクラウドファンディングについて書いてきたが、常々感じているのは「期待に反して盛り上がらないな」ということだ。

様々な理由が考えられるが、最大の理由は「とにかく利用者が少ない」というシンプルかつ残酷な事実にある。

独立系の企業が購入型クラウドファンディングサービスを乱立して凌ぎを削っていても、国内の市場規模は大幅に拡大しないということはわかっている。従来型のクラウドファンディングサービスを使わせるのは限界があり、サービス改善やスマホ利用が進んだところで、基本的には一部のリテラシーの高いアーリーアダプターを相手にビジネスをすることになるからである。

もちろん、上記5つのポイントが全てではない。だが、少なくともこれらが機能しないことにはパラダイムシフトは起きないだろう。クラウドファンディング業界を単独で考えず、広い視野に立って多角的に捉える必要があるのだ。


「FUTURUS(フトゥールス)」に寄稿した記事を転載しています

クラウドファンディングで資金調達する方法まとめ

2014.11.29 16:04|雑記
未だ発展途上のビジネスという感は否めないものの、日本においても着実に浸透しつつあるクラウドファンディング。特に「購入型」のサービスに参入する事業者は多く、少しずつ市場規模が拡大し競争も生まれている。

しかし、競争し合っているとはいっても、メニューは限られていてパッと見の印象ではどれも似通っている。しかも、大抵の人は支援者としてサイトを利用するため、基本的にはこのサイト、というよりはこのプロジェクト、という感覚で気になったもの、共感できるものを見つけて利用することになる。支援者からすると、多彩なプロジェクトとある程度の利便性があれば良く、このサイトでなければならない、という感覚は薄いと言えるだろう。

サービスのキモは間違いなく「プロジェクト」の質と量だが、各サービスはどのようにして差別化を図っているのだろうか。その他に、どんな魅力、メリットを生み出しているのだろうか。叶えたい夢や世の中に広めたい商品やサービスはある、でもその実現方法や必要な資金の確保、実現後の運用など、自分一人でやるのは難しい、そんな人たちをどのようにサポートしているのだろうかーー。

そこで今回は、このような疑問に答える形で、クラウドファンディングを用いて資金調達するにあたって知っておきたい、プロジェクトオーナー向けのまとめ記事を書こうと思う。以下、国内の代表的な購買型クラウドファンディングサイトのプロジェクトオーナー向けサービスを比較していく。※2014年11月26日現在のPC版サービスに準拠

■主要サービスのオーナー向けページ比較

すで知っているサイトも多いと思うが、それぞれ強みや打ち出し方にも特徴があって非常に興味深いので、気になるものがあればぜひ利用してみてほしい。なお、2014年4月末時点での累計支援額が多い順に並べている。

・READYFOR?
サイト上部の目立つ位置にる「プロジェクトを始める」をクリックすると、「あなたの活動を応援したい」というシンプルなメッセージからはじまり、成功したプロジェクトとオーナーを紹介するコーナーがあり、プロジェクト立ち上げまでの6つのステップがコンパクトにまとめられている。

この時点で準備ができている人は、フォームもしくはFAXにて応募する流れになっていて、あわせて媒体資料をダウンロードすることもできる。

また、これまでの実績から、「NPO向けのページ」および、「図書館向けのページ」が用意されているのも特徴的だ。

・CAMPFIRE
サービスロゴのすぐ隣にある「プロジェクトを始める」をクリックすると、画面中央部に「プロジェクトを投稿する」というボタンがあり、さらにこれをクリックすると会員登録を促される作りになっている。

一旦こちらは飛ばしてスクロールすると、「プロジェクト投稿からSUCCESSまでの7つのステップ」というコーナーでサービスの全体像が簡潔にまとめられている。審査や掲載開始までにかかる期間の目安や、募集期間、手数料などがわかりやすく記されている点が良心的と言える。

また、ページ最下部にある「プロジェクトの作り方」 には、非常に質の高いマニュアルが用意されており、これを読み込むことで誰もがプロジェクトを立ち上げることができるようになっている。

・Motion Gallery
ページ上部にある「プロジェクトを投稿」をクリックすると、世界最大級の海外サイトと連携していること、最安値の手数料であることなどが打ち出されている。そこからは、プロエジェクト立ち上げまでのステップではなく、Motion Galleryを利用する「7つの価値」が記されていて、ページ下部にはFAQも用意されているものの、サービスの魅力が前面に押し出されている印象だ。

特徴的なのは、「コンセプト・ファンディング」と「プロダクション・ファンディング」という独自の表現で2種類の資金調達方法があることを訴求している点で、プロジェクトオーナーにとって重要なポイントを押さえている。

・ShootingStar
ページ上部にある「プロジェクトを申請する」をクリックすると、ログインor新規会員登録を促されるが、Facebook、Twitter、楽天IDでログインできるので煩わしくはない。ログインすると、プロジェクトの申請の流れが簡単に説明されたページが表示されたのち、淀みなく申請フォームに行かせる作りになっている。

この申請フォーム兼マニュアルが優れていて、プロジェクト立ち上げまでの6つのステップがわかりやすいだけでなく、必要項目を埋めていくとプロジェクトページのプレビューが見られるため、非常にイメージしやすい。別途プロジェクトオーナー向けアドバイスもあり、親切な印象を与える。

また、有料ではあるが、紹介動画の編集をプロに委託することができるなど、オプションサービスも用意されているのもポイントだ。

・GREEN FUNDING
サイト上部にある「プロジェクトを投稿する」をクリックすると、ざっくりとした応募フォームに飛ぶ。ただ、これは説明不足で親切ではないということではなく、「プロジェクト起案のご相談」と書いてあるように、まずは相談してください、サポートさせていただきますというメッセージなのだと思われる。

実際に利用したわけではないためどのようなサポートが受けられるかはわからないが、GREEN FUNDINGは法人向けにクラウドファンディングビジネスのコンサルやASPシステムの導入、企画運営のサポートなど幅広くソリューションを提供しているため、様々なニーズに応えられることは間違いないだろう。

・Makuake
サイト上部の「プロジェクトを始める」 をクリックすると、「Makuakeスタッフに相談する」「具体的にプロジェクトが決まっている方」という二つの入り口が用意されている。前者は必要最低限の内容を記入して相談できるフォームで、後者はログイン(Amaba、Facebook、Twitter)か新規会員登録をしたのち、エントリーシート記入ページに遷移する。

エントリーシートの項目はロジカルに設定されており、必要な情報を余すことなく回収することでミスマッチやミスコミュニケーションが起きないように工夫されている。また、一時保存機能があるため、じっくり考えながら作成することができて便利である。成功の秘訣が詰まった公式ブログも用意されているので、あわせて使ってみると良いだろう。

もうひとつ、サービスの強みが前面に打ち出されていることも特徴的だ。独立系のサイトが多い中、サイバーエージェントグループであること、つまりは、Amebaとの連携による圧倒的なメディア力とスマフォファーストの開発力を武器に、競争優位性をアピールしている。

・COUNTDOWN
タブメニューの「いどむ(チャレンジする)」をクリックすると、「チャレンジ」という表現で、全体の流れがざっくりと示されている。スクロールすると申請フォームへのリンクがあり、ログインを促される。Facebook、Twitter、Linkedinでログインできるが、メール認証があり、他サイトと比較すると1ステップ多い。

お問い合わせフォームやFAQは用意されているものの、申請フォーマットが平板で、プロジェクトページの仕上がりなどをイメージしにくいのが難点だ。

一方、特筆すべき点としては、「きく(助っ人にそうだん)」コーナーが挙げられる。「海外在住経験が長く、現地の事情に通じている」「専門分野を活かして、現地でビジネスを行っている」エキスパートに相談でき、場合によってはプロジェクトのキュレーター的に参加してくれることもあるとのことだ。

・FAAVO
ページ上部の「プロジェクトを掲載する」をクリックすると、「“地域を盛り上げるプロジェクト”に特化したクラウドファンディングサービス」というFAAVOの特徴をつかめないまま応募フォームに飛んでしまうため、まずは「FAVVOとは?」と「プロジェクト起案者(プレイヤー)向けFAQ」を読み込む必要がある。

いずれにせよ、「地元を盛り上げたい出身地」と「地元を支援したい出身者」にターゲットを絞ったサービスなので、地域活性化プロジェクトなど実現したいことと関連しそうなときのみ利用を検討してもらえればと思う。

・kibidango
タブメニューの「はじめての方」からプルダウンで「プロジェクトを開催しようとお考えの方」を選択すると、「全人類桃太郎化プロジェクト」という文字が飛び込んできて面食らうことになるため、先に「kibidango(きびだんご)とは?」を読んでから来るのが正解と言える。

「なぜ、きびだんご? 桃太郎?」という疑問がクリアになり、興味がわくように工夫されたストーリー仕立ての概要ページは秀逸なので、気になる方はぜひ読んでみてほしい。

また、プロジェクトオーナーを「アイデアと実現スキルを有するプロフェッショナル(またはそれに準ずる人)」と定義し、「単なる物販ではない、新しい買い物体験を提供するサービス」を目指すと言っていることから、個人の夢や目標を叶えるというよりは、持続可能なスキーム作りの手助けに注力するという点に特徴があることがわかる。

・WESYM
サイト上部の「プロジェクトを立ち上げる」をクリックすると、はじめに「日本で唯一、各種ポイントでも応援ができる」というPRポイントが訴求され、さらにWESYMを選ぶ6つの理由が明示される。まずここで利用意欲を喚起し、投稿フォームと立ち上げまでのフローに誘導する形になっているのが特徴的だ。プロジェクトの申請時にログインを促されるが、Facebook、Twitter、GoogleID、Yahoo!ID、楽天IDと選択肢が多い。

WESYMはまだメガヒットは少ないものの、独自の世界観とビジネス構想を元にサイトを構築しており、非常にポテンシャルが高い。クレジットカードを持っていない人、クレジット決済に抵抗がある人でも、Tポイント、楽天スーパーポイントなどで支援できる仕組み、各ジャンルで強みを持ったパートナーにOEM展開して間口を広げる集客法、多言語展開など、サービス内容に期待感が持てる。


以上が主要10サイトの比較となる。他にもいろいろあるが、まずは上記で気になったサイトに登録して使用感を確かめてみたり、プロジェクトの立ち上げにあたっての疑問を投げかけてみてはいかがだろうか。

ちなみに、筆者があえてひとつおすすめを選ぶとしたら、「Makuake」を推薦したい。もちろん、どんなプロジェクトを立ち上げるか、どれだけの資金が必要になるかなど状況によるし、サイトごとに得意分野もコンセプトも違うが、総合的に見ると「Makuake」が一歩リードしていると言える。

実際のところ、調達額が1,000万円以上のプロジェクトの比率が高く、クラウドファンディング業界では後発ながら成長スピードが早い。先に述べた通り、サイバーエージェントグループの強みを生かしつつ、サービス改善、事業拡大を図れることは、オーナーからすると何よりも心強く感じられるはずだ。

■「Kickstarter」でもプロジェクトを立ち上げることができる!

最後に、米国大手クラウドファンディングサービス「Kickstarter」におけるプロジェクトの立ち上げについても触れておこう。日本からKickstarterで支援できることは前回の記事でも触れたが、もちろんプロジェクトを立ち上げることもできる。

ただ、当然ながらプロジェクトの立ち上げは全て英語で行う必要がある。しかも、語学力があれば良いというものではなく、現地住所や現地口座、state issued ID(身分証明書)などが必要で、個人として日本から参加するには非常に障壁が高い。

「いやいや、それって日本からは立ち上げられないも同然じゃないの?」

そうツッコミを入れたくなる方もいるかもしれないが、そうでもない。なぜなら、Kickstarterのプロジェクト立上げ支援サービスを提供している会社があるからだ。

例えば、AWESOME JAPANは、個人法人問わず、立ち上げから翻訳・投稿代行、支援者とのやりとりなどトータルでサポートしてくれるという。AWESOME JAPAN社の実績は公式サイト等にて確認できるが、アニメーション作品で1,000万円ほど調達したプロジェクトもある。いずれにせよ、日本のコンテンツを海外で展開したいなど、欧米圏でこそ成功しそうなプロジェクト案がある方は、チャレンジする価値はあると言えるだろう。

いかがだっただろうか。当記事が、クラウドファンディングを用いてプロジェクトを立ち上げ、成功に導きたいと願う方々の一助となればと思う。

「FUTURUS(フトゥールス)」の記事を転載しています
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