06 | 2017/07 | 08
-
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
プロフィール

青木勇気

Author:青木勇気
小説を出していたり絵本も書きたかったりします。物書きと呼ぶにはおこがましいくらいのものですが、物語を書いて生きていけたら幸せだなと思っています。

リンク

最新記事

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

スポンサーサイト

--.--.-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『動員の革命』が示唆するものについて

2012.05.21 20:37|雑記
『動員の革命』において、津田大介氏はまずソーシャルメディアがもたらした情報環境の変化を、「リアル(現実の空間・場所)を『拡張』したことで、かつてない勢いで人を『動員』できるようになった」ことと定義する。

そして、この「動員」によって起こった社会変革と、今後もたらされるであろう「動員」について、「ソーシャルメディア×革命」「ソーシャルメディア×情報発信」「ソーシャルメディア×震災」「ソーシャルメディア×未来」という章立てで具体的に提示している。
 
書評としてはより緻密に書かれたものが多数あるのでそちらに譲り、ここからは主に第4章のテーマである「ソーシャルメディア×未来」に絡めて持論を述べたいと思う。

ここ数年で「ちっぽけな自分が何をやったところで社会は変わらない」というあきらめの心境が「自ら動くことで多くの人の共感が得られ、社会が少しずつ変わっていくかもしれない」という希望に置き換わった人は少なくないでしょう。



津田氏はあとがきでこう言っている。基本的には同意するが、解釈を加える必要がある。誰もが発信できる環境が出来上がったとはいえ、やはり皆が発言力のある者、動員する力を持つ者になれるわけではないし、現に発言力や動員する力を持った者を傍観する立ち位置を保つ人が圧倒的に多い。

またこの状況に対し、日本人は匿名性を好むとか、会社の看板を背負っていると好きなことをやりにくいといった理由を挙げる人も多いが、そういうことではないだろう。これはもっと単純な話で、「◯◯を成し遂げてみせる」という信念を持ち、実際に行動に移す人はいつの時代も一定数いるが、それは劇的に増えるものではないというだけだ。だから、「発信→共感→動員」という流れを体感している人はいまだマイノリティであり、当事者と第三者という構図自体はそれほど大きく変わらない。

ただ、「共感・支援」という観点では明らかに変化が見える。ソーシャルメディアは、従来であればその存在を知ることすら難しい人々を可視化し、ある程度まで有名にし、支援することを可能にした。『動員の革命』には「CAMPFIRE」の創設者・家入一真氏との対談が収録されているが、まさにこの「クラウドファンディング」がわかりやすい例だ。

自分自身は行動に移せなくても、発信者を支援することはハードルが低い。現状の支援の形は、ソーシャルメディアで情報を拡散、共有することから、寄付、サービス・商品購買型支援、投資型支援と様々だが、個人的には、さらに一歩前に進んで、プロジェクトに自ら参加し、ひとつのパートを担うというようにコミットメントが強まり、身体性を伴うもの、継続性のあるものに変わっていくだろうと思っている。

また、津田氏自身も政治メディアを立ち上げるために有料メルマガで資金集めをしていると言っているが、コンテンツであるメルマガを支援への対価として提供されるものと考えれば、これも一種のクラウドファンディングである。津田氏が実践するジャーナリズム、新しいメディアの構想、ソーシャルメディアの活用法などに共感し、支援する者を動員し、形あるものにしていくというあり方。本作の中では明示していないものの、津田氏自身が「動員の革命」を起こす第一人者なのである。

情報発信という観点で『動員の革命』の第2章でも語られているが、ネット空間/ネットメディアと現実世界/オールドメディアという陳腐な二元論は終わりを告げた。両者は対立するものではなく共存するものであり、最早そのような形においてしか発展性に期待できないだろう。「情熱大陸」に出演した安藤美冬さんのような“逆輸入”パターンしかりで、マスメディアの影響力にネットで熟成されたコンテンツを掛け合わせることではじめて話題になるのだ。

「ネット側」から「マスゴミ」だなんだと小気味よく批判してても何も生まれないし、ソーシャルメディアを介して動員を引き起こす新しいサービス、人物を叩いても仕方がない。メディアやコンテンツのあり方、そしてそれに合わせてビジネスの成り立ちは大きく変わりつつある。津田氏は、「動員」をキーワードにそのことを示唆しているのではないだろうか。

先日、幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議」の来場者数は2日間で9万2364人(ネット視聴者は347万766人)、ネットで話題のサービスがリアルでも人気イベントになりえることを端的に証明した。運営元であるドワンゴの会長・川上量生氏によると4億から5億円の赤字で続けていくイメージはないとのことだが、同じく取締役の夏野剛氏が「ネットで起きていることをリアルにぜんぶ出して視覚化した歴史に残るイベント」と評するように、これこそまさに動員の革命である。

もちろん、赤字が出ている時点で成功とは言いがたく、手放しで賞賛することはできないかもしれない。ただ、部分的であれ、ネットとリアル、マスメディアとネットメディアといった枠組みを取っ払い、新しいエンタメ、コンテンツのあり方を提案した意味は、決して小さくない。

新たなる試みは、そこに関わる者のあり方を変える。少なくとも筆者は、個人であれ法人であれ「動員の革命」を起こさんとする第一人者に注目していきたいし、その思いや目指すところに共感した場合には、積極的に支援、参加したいと思っている。

※言論プラットフォーム「アゴラ」に掲載された記事を転載しています
関連記事
スポンサーサイト

コメント:

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。